はじめに
会社売却(M&A)を検討しているものの、
「債務超過だから買ってくれる会社なんてないだろう」
「純資産がマイナスでもM&Aはできる?」
「借金の方が資産より多い会社に価値はある?」
と悩んでいる経営者もいるでしょう。
債務超過は、会社売却を考えるうえで重要な問題です。
しかし、
債務超過だからといって、必ず会社売却ができないわけではありません。
会社には、貸借対照表に表れる資産だけではなく、
顧客基盤
技術
人材
許認可
ブランド
販売網
継続的な収益力
など、さまざまな価値があります。
こうした価値を買い手が評価すれば、債務超過の会社でもM&Aが成立する可能性があります。
今回は、債務超過の会社でも売却できるケースや、買い手が確認するポイントについてわかりやすく解説します。
そもそも債務超過とは?
債務超過とは、簡単にいうと、
会社の負債が資産を上回っている状態
です。
例えば、
資産:5,000万円
負債:7,000万円
という会社であれば、
単純化すると純資産はマイナス2,000万円となります。
このような状態が債務超過です。
貸借対照表の純資産がマイナスになっている会社をイメージすると分かりやすいでしょう。
「赤字」と「債務超過」は違う
よく混同されるのが、
赤字と債務超過です。
赤字は、
一定期間の経営成績として、収益より費用などが大きくなっている状態を指します。
一方、債務超過は、
ある時点において負債が資産を上回っている状態です。
そのため、
今期は黒字でも、過去の赤字が積み重なって債務超過になっている会社もあります。
反対に、
今期は赤字でも、過去に蓄積した純資産が十分にあれば債務超過ではない会社もあります。
会社売却を考える際には、
「赤字なのか」
「債務超過なのか」
を分けて考えることが重要です。
債務超過でも会社売却できる可能性はある
債務超過の会社だからといって、
M&Aが不可能になるわけではありません。
なぜなら、
買い手が会社を評価するときには、貸借対照表の純資産だけを見ているわけではないからです。
例えば、
現在も安定した営業利益が出ている
多くの優良顧客を抱えている
特殊な技術を持っている
優秀な技術者が在籍している
取得が難しい許認可を保有している
特定地域で高いシェアを持っている
といった会社であれば、
買い手が事業そのものに価値を感じる可能性があります。
過去の赤字で債務超過になっている会社
買い手から比較的理解されやすいケースの一つが、
過去の赤字によって債務超過になったものの、
現在は業績が回復している会社です。
例えば、
数年前に大きな設備投資を行った
一時的に大口顧客を失った
新規事業への投資で赤字になった
などの理由で純資産が減少したものの、
現在は毎年安定して利益を出しているケースです。
このような会社であれば、
「過去に何があったのか」
だけではなく、
「今後どの程度の利益を生み出せるのか」
という視点で評価される可能性があります。
買い手とのシナジーが大きい会社
単独では債務超過でも、
買い手との組み合わせによって価値が生まれるケースもあります。
例えば、
売り手企業が優良な顧客基盤を持っており、
買い手企業の商品をその顧客へ販売できる場合です。
ほかにも、
買い手が進出したい地域に店舗網を持っている
買い手が欲しい技術者を抱えている
買い手が参入したい業界の取引実績がある
といったケースがあります。
買い手にとって、
ゼロから顧客や人材、ノウハウを獲得するより会社を買収した方が早いのであれば、
財務状態だけでは測れない価値が生まれます。
債務超過額だけで売却可能性を判断しない
例えば、
2,000万円の債務超過がある会社を考えてみましょう。
「純資産がマイナス2,000万円だから価値がない」
と単純に判断できるとは限りません。
毎年2,000万円の営業利益を安定して生み出している会社と、
毎年2,000万円の赤字が続いている会社では、
同じ債務超過額でも状況は大きく異なります。
そのため買い手は、
債務超過額だけではなく、
現在の収益力
今後の事業計画
借入金の返済状況
キャッシュフロー
顧客構成
事業の競争力
なども確認します。
借入金の内容も重要になる
債務超過の会社では、
なぜ負債が大きくなっているのかも重要です。
例えば、
金融機関からの借入金なのか、
オーナー経営者からの役員借入金なのか、
取引先への買掛金なのかによっても状況が異なります。
特に中小企業では、
資金繰りのために経営者自身が会社へ資金を入れており、
多額の役員借入金が残っていることがあります。
M&Aでは、
こうした負債をどのように取り扱うのかについても交渉することがあります。
債務超過の場合、売却価格はどうなる?
債務超過の会社では、
当然ながら財務状態が株式価値の評価に影響する可能性があります。
例えば、
事業そのものには価値があっても、
多額の有利子負債があることで株式価値が低く評価されることがあります。
その結果、
経営者が期待していたほどの株式譲渡代金を受け取れないケースも考えられます。
ただし、
M&Aのメリットは売却代金だけではありません。
「高く売る」以外にもM&Aの意味がある
債務超過の会社をM&Aする場合、
経営者にとっての目的が、
「株式を数億円で売って大きな利益を得ること」
とは限りません。
例えば、
従業員の雇用を守りたい
取引先との関係を残したい
事業を廃業させたくない
後継者がいない
個人保証の問題を解決したい
といった目的もあります。
仮に株式譲渡代金が高額にならなかったとしても、
事業を継続できること自体に大きな意味があるケースがあります。
株式譲渡以外の方法が検討されることもある
債務超過の程度や会社の状況によっては、
会社の株式そのものを譲渡する方法だけではなく、
事業の一部または全部を譲渡する方法などが検討されることもあります。
例えば、
会社全体を引き継ぐことは難しいものの、
特定の事業には価値があるケースです。
この場合、
買い手が必要な事業や資産などを引き継ぐ方法を検討することがあります。
ただし、
株式譲渡と事業譲渡では、
契約や許認可、従業員、税務、債務などの取り扱いが異なります。
どの方法が適しているかは、会社の状況に応じて専門家と検討する必要があります。
買い手が特に確認するポイント
債務超過の会社を検討する買い手にとって、
「なぜ債務超過になったのか」
は非常に重要です。
例えば、
過去の一時的な損失が原因なのか、
現在も本業で赤字が続いているのかでは、
意味がまったく異なります。
そのため、
債務超過になった原因
過去数年間の業績推移
現在の収益状況
今後の収益見込み
借入金の状況
資金繰り
などを説明できるようにしておくことが重要です。
債務超過を隠してM&Aを進めない
「債務超過だと伝えたら買い手がいなくなるのでは?」
と考え、不利な情報をできるだけ見せたくない経営者もいるかもしれません。
しかし、
M&Aではデューデリジェンスによって財務資料などを確認されることがあります。
そこで後から問題が発覚すると、
価格交渉だけでなく、
売り手に対する信頼そのものを失う可能性があります。
債務超過であること自体よりも、
「なぜそうなったのか」
「現在はどうなっているのか」
を正確に説明することが重要です。
早めにM&Aを検討することも重要
債務超過の会社で特に避けたいのが、
資金繰りが限界になってから初めて買い手を探すことです。
M&Aでは、
買い手探し
条件交渉
デューデリジェンス
最終契約
クロージング
などに時間がかかります。
資金が数週間しか持たない状態になってからでは、
十分な買い手探しや条件交渉ができない可能性があります。
「まだ経営を続けられるから大丈夫」
という段階で、
会社売却も選択肢の一つとして検討しておくことが大切です。
債務超過でも会社の「強み」を整理する
債務超過の会社を売却する場合、
財務状態だけで会社を説明しないことも重要です。
例えば、
長年取引している優良顧客
独自の技術
経験豊富な従業員
ブランド
地域での知名度
販売チャネル
取得している許認可
など、
買い手にとって価値になるものを整理してみましょう。
決算書ではマイナスに見える会社でも、
事業そのものに価値が残っている可能性があります。
まとめ
債務超過だからといって、
必ず会社売却ができないわけではありません。
債務超過の会社であっても、
現在は利益が出ている
優良な顧客基盤がある
独自の技術を持っている
優秀な人材がいる
買い手とのシナジーが期待できる
といった場合には、
M&Aの対象になる可能性があります。
重要なのは、
「純資産がマイナスだから価値がない」
と自己判断しないことです。
一方で、
債務超過の状態が深刻になり、
資金繰りに余裕がなくなってからでは、
M&Aの選択肢が狭くなる可能性があります。
会社売却を考えるのであれば、
なぜ債務超過になったのかを整理するとともに、
会社が持っている顧客、人材、技術、収益力などの強みについても確認しておきましょう。
債務超過でも、
事業そのものに価値があれば、会社を次の経営者へ引き継げる可能性があります。
会社売却を検討している方へ
「債務超過だけど、自社に買い手がつく可能性はある?」
会社売却を考え始めたら、まずは現在の企業価値を把握することが重要です。
AIによる無料企業価値診断なら、売上や利益などの情報から企業価値の目安を確認できます。
👉 無料で企業価値を診断する
