M&Aは基本合意後でも破談になる?会社売却が中止になる理由と売り手の注意点を解説

目次

はじめに

会社売却(M&A)の交渉が進み、

買い手と基本合意書を締結すると、

「ここまで来れば会社売却はほぼ決まった」

と安心する経営者もいるでしょう。

しかし、基本合意まで進んだからといって、必ずM&Aが成立するとは限りません。

その後のデューデリジェンスや条件交渉によっては、

売却価格が変更されたり、最終的にM&Aそのものが中止になったりする可能性もあります。

今回は、M&Aが基本合意後に破談になる代表的な理由と、売り手側が注意しておきたいポイントについて解説します。


基本合意とは?

基本合意とは、

売り手と買い手がM&Aの基本的な条件について合意した段階で締結する書面です。

一般的には、

  • 想定する売却価格
  • M&Aの方法
  • 今後のスケジュール
  • デューデリジェンス
  • 独占交渉
  • 秘密保持

などについて定めることがあります。

「LOI(Letter of Intent)」などと呼ばれることもあります。

ただし、基本合意書の内容や法的拘束力は案件によって異なります。

最終的な株式譲渡契約などとは別の段階であることを理解しておきましょう。


基本合意後でもM&Aが成立しないことはある

基本合意まで進んでいるということは、

買い手がその会社の買収に一定の関心を持っている状態です。

しかし、

まだ買い手が会社のすべてを確認できているとは限りません。

その後、

デューデリジェンスによって会社の詳細を確認し、

最終的な売却価格や契約条件を交渉します。

その結果、

双方が条件について合意できなければ、

M&Aが成立しないこともあります。


理由① デューデリジェンスで問題が見つかった

基本合意後に行われる重要な手続きの一つが、

デューデリジェンス(企業調査)です。

買い手は、

財務・税務・法務・労務などについて会社の状態を確認します。

その過程で、

  • 未払い残業代
  • 回収が難しい売掛金
  • 簿外債務
  • 税務上の問題
  • 契約上の問題
  • 訴訟や紛争

などが発覚することがあります。

問題の内容が重大であれば、

買い手が買収そのものを見直す可能性があります。


理由② 売却価格について合意できなくなった

基本合意時点では、

例えば、

「株式譲渡価格1億円を想定」

としていたとします。

しかし、

その後のデューデリジェンスによって会社の実態を詳しく確認した結果、

買い手から、

「このリスクを考えると8,000万円でなければ買収できない」

と価格変更を提示されることも考えられます。

売り手がその条件を受け入れられなければ、

交渉がまとまらず破談になる可能性があります。


理由③ 基本合意後に業績が悪化した

M&Aでは、

交渉開始から最終的なクロージングまで一定の時間がかかります。

その間に会社の状況が変化することもあります。

例えば、

  • 大口顧客を失った
  • 売上が急減した
  • 重要な社員が退職した
  • 大きなトラブルが発生した

といったケースです。

買い手が当初想定していた会社の状態から大きく変化すれば、

価格や買収そのものを再検討する可能性があります。


理由④ 売り手から聞いていた内容と実態が違った

M&Aでは、

売り手と買い手の信頼関係も非常に重要です。

例えば、

「特に労務トラブルはありません」

と説明していたにもかかわらず、

デューデリジェンスで重大な問題が判明したとします。

問題そのものだけでなく、

「なぜ事前に説明されなかったのか」

という不信感につながる可能性があります。

把握している問題については、

仲介会社や専門家と相談しながら適切に開示することが重要です。


理由⑤ 最終契約の条件で合意できなかった

M&Aでは、

売却価格だけが交渉条件ではありません。

最終契約では、

例えば、

  • 表明保証
  • 補償
  • 売却後の引継ぎ
  • 競業避止
  • 役員の処遇
  • 従業員の取り扱い
  • クロージング条件

など、さまざまな項目について話し合います。

売却価格では合意できていても、

その他の条件について双方の意見が合わず、

最終契約へ進めないケースもあります。


独占交渉期間にも注意しよう

基本合意書では、

買い手に一定期間の独占交渉権を与える場合があります。

独占交渉期間中は、

売り手が自由に別の買い手候補と交渉できない内容になっていることがあります。

その状態で現在の買い手とのM&Aが破談になると、

一定期間ほかの買い手との交渉を進められなかった分、

売却スケジュールに影響する可能性があります。

基本合意書を締結するときは、

売却価格だけでなく、

独占交渉に関する条件についても確認しておきましょう。


破談になった場合、仲介手数料はどうなる?

M&Aが破談になった場合に、

仲介会社へどの程度の費用を支払う必要があるのかも確認しておきたいポイントです。

M&A仲介会社の料金体系は会社によって異なります。

完全成功報酬型であれば、

M&Aが成立しなかった場合に成功報酬が発生しない契約もあります。

一方で、

着手金や月額報酬、中間金などが設定されている場合には、

成約しなくてもすでに支払った費用が戻らないことがあります。

仲介会社を選ぶ際には、

「成約した場合にいくらかかるか」だけでなく、

「途中で破談になった場合にどの費用が発生するのか」

についても契約前に確認しておきましょう。


基本合意後だからこそ通常どおり経営を続ける

基本合意まで進むと、

経営者自身が、

「もう会社は売れた」

という気持ちになってしまうことがあります。

しかし、

クロージングが完了するまでは会社売却が確定したとは限りません。

売却活動中だからといって、

営業活動を減らしたり、

採用を止めたり、

会社の管理を疎かにしたりすると、

業績悪化につながる可能性があります。

M&A交渉中も、

これまでと同じように会社の経営を続けることが重要です。


もし破談になっても会社売却を諦める必要はない

一社との交渉が破談になったからといって、

会社そのものに価値がないとは限りません。

買い手によって、

M&Aの目的や会社に対する評価は異なります。

ある買い手とは条件が合わなくても、

別の買い手とは高いシナジーが期待できる可能性があります。

ただし、

破談になった理由に会社側の問題がある場合には、

次の買い手を探す前に改善できる部分を整理しておくことが大切です。


まとめ

M&Aでは、

基本合意書を締結した後でも破談になる可能性があります。

代表的な理由として、

デューデリジェンスでの問題発覚、

売却価格の再交渉、

業績悪化、

情報開示の問題、

最終契約条件の不一致などがあります。

そのため、

「基本合意=会社売却完了」

ではありません。

実際に株式が譲渡され、

売却代金の決済など所定のクロージング手続きが完了するまでは、

通常どおり会社経営を続けることが重要です。

また、

M&Aを始める前から財務・税務・労務・契約関係などを整理しておくことで、

基本合意後に大きな問題が発覚するリスクを減らすことにもつながります。

会社売却を考え始めたら、

買い手探しを急ぐだけではなく、

「買い手から調査されても問題のない会社にしておく」

という準備も進めておきましょう。


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